窓から漏れてくるテレビの音、塀の上の猫、物干で布団を叩く音。
路地裏を歩くとなぜかほっとする。
缶蹴りやビー玉やメンコで遊んだ幼い頃の思い出がよみがえる。
休みの日にカメラ片手に、知らない街の路地裏をうろつく。
まっすぐな表通りを歩くより、勘を頼りに
右に折れたり、左に折れたり、行き止まりになったり、
はたまた、もと来た道をもどったり、人生行路の様な
路地裏散歩はおつなものなのだ。
散歩のもう一つの楽しみ。
それは【路地裏の芸術(げーじゅつ)】
芸術といってもそんなに高尚な事ではない。
カメラのファインダーで芸術を発見するのだ。
路地裏にはたくさんの芸術が落ちている。
現代アート、オブジェ、日本画。
カメラ片手に立ち止まったり、振り返ったり、見上げたり、
はたから見ればかなり怪しい行為だが、
なにせ芸術(げーじゅつ)のためだ。気にしない。
それでは、路地裏で出会った芸術(げーじゅつ)をどうぞ。
落書きされた赤い字との組み合わせが面白い。
即興のアート。
路面に貼られたガスのマーク。
よく観察するとアートが見つかるのだ。
壁面のアルファベットと
捨てられたソファーの対比が面白かった。
壁面の女性がバイクを見つめていた。
コンクリート壁の廃水の穴から雑草が顔をだし、
投げ入れの様なパフォーマンスに見えた。
学生の頃、美術の先生に
「汚いものの中にも、良く見ると
美が隠されているんだよ。」
と教えられたことがある。
路地裏の印刷工場の壁、空き地の錆びた門扉、
古びた家の踏み板に現代アートが隠されていた。
ワゴン車に貼ってあったステッカー。
トリミングして切り取るとおもしろい絵になった。
とあるアパレルのお店のコンクリートの
壁の一部をトリミング。
ちょっと洗練されたアートディレクションでしょ。
あるお店の壁で偶然見つけた。
南の島の月夜の海に浮かぶ一艘の小舟に見えた。
洋服屋さんのライト看板。割れたところを
セロテープで止めていて,アートしていた。
ハンフリー・ボガードも苦笑い。
壁にくだもののレリーフ。
上の赤壁の一部を取り込んでトリミングしてみた。
ある和食屋さんの壁の一部を切り取ってみた。
たなごころに光る玉を持つ猿。
仏教説話に出てきそうな絵になった。
南無観音菩薩。
トタン板に描かれた落書き。白いペンキで消した跡が,
しゃれた花瓶に活けられた白い花に見えてくる。
あるお寺の板壁の一部。はがれ落ちた部分が
山水画を作っていた。古代インドの宇宙に出てくる
神々の住むという【須弥山】を思わせる。
石垣についた苔が緑色のタペストリーを
織りなしていた。
足元に目を落としトリミングすると、そこには日本画が
落ちていた。落葉が踏まれて粉になり、金粉をまいた
屏風絵の様であった。
とある駅の通路のよごれたスリガラス越しに外の風景を
取り込むとアートが浮かんできた。
澄み切った青空と猥雑な町並みがスクラッチされて、
遠い昔の記憶が脳裏に浮かんだ。
コンクリートの壁から何のためらいもなく
幾本かの線が、壁から現れ壁にもどっていた。
画面に心地よく、微妙な緊張感をもたらしている。
壁と線が作った現代アート。
ある家のモルタルの壁に紅葉の蔦が作る素晴らしい
芸術(げーじゅつ)があった。家も紅葉の衣を
まとい自慢げだった。
路地を曲がると、その宇宙人は突然現れた。
何のてらいもなくうちゅー人と頭に大書きしている。
うちゅー人と文字で決めつけなければ、
うちゅー人に見えないところが又よい。
路地裏のげーじゅつには
どこで出くわすかわからない。
心してかからねばならない。
壁の落書きを白いペンキで消してあった。
うっすらと落書きの跡が見てとれる。
同じ色で合わせられないことが、
かえって微妙な色調と形を作り出し、アートしていた。
室外機のパフォーマンス。母屋に斜めにしなだれかかり、
今にもころげ落ちそうだが、母屋からの白いパイプと
屋根の楔でかろうじて留まっていた。
会社からリストラされそうなお父さんか、
はたまた旦那に捨てられそうな愛人か?
胸に迫るパフォーマンス。
炎天下のコンクリートの熱と地面に描かれた標識が合作して
アートを作っていた。とまれの文字と自転車のくずれかたが
なんとも芸術(げーじゅつ)している。
偶然は作為をこえるのだ。
なにかのイベントのビラの剥がしあと。これも
偶然のなせるアートだ。楽器を奏でる美人が
遥か遠いシルクロード敦煌の壁画とかさなった。
町中の喫茶店の看板にふと目が止まった。
犬の下にはコーヒーとかケーキとかのメニューがあった。
古代人が描いた壁画の様な素朴で力強い絵だ。
目を描いていないところが、この造形美に
不思議なパワーを与えている。
公園の売店前の大きなアイスクリームのオブジェと落葉。
季節のミスマッチが芸術(げいじゅつ)していた。
コーヒーショップの壁面の一部。原色の配色と割れ目から
生えた名もない雑草のコントラストが面白い。
看板を工事していた。
むき出しのコンクリートと陶器の碍子,
垂れた電線が巧みな造形美を作っていた。
左側には梯子をかけて職人さんが作業中。
ちょっとしたトリミングで
芸術(げーじゅつ)が出来る。
白いシャッターのホリゾントの前の赤い三角帽子。
ニューヨーク近代美術館の中の展示にありそうでしょ。
★これからも路地裏をうろついて作品を発表していきます。