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「フー,暑い!」
熱帯地方メコンデルタの湿気のある甘ったるい様な
熱気に体じゅうが包まれた。
秋も深まった日本を離れて,真夜中 ホーチミン・タンソンニャット国際空港に降り立った。
ベトナム戦争が終わり,1976年にサイゴン市から ベトナムの英雄ホーチミンの名をとって,
ホーチミン市と改名された。
でも僕は政治的背景は別として 『サイゴン』と言う響きが好きだ。
サイゴンとはクメール語で『カポックの木の茂る森』 と言う意味だそうだ。
何とロマンチックで文学的な名前だろう!
サイゴンの中心部にあるホテル『カラベル』の有名な『サイゴンサイゴン・バー』からの眺めは最高だった。
眼下には映画『インドシナ』のロケ地でもあり,
フランス植民地時代のコロニアル様式の ホテル『コンチネンタル』や
ホテル『レックス』の 赤いネオンサインが,夕方のスコールでクリアーになった トワイライトタイムに,
1枚のスチール写真の様に 静かに輝いていた。
『サイゴンサイゴン・バー』ではなく『ホーチミンホーチミン・バー』 ではちょっと興醒めだ。
サイゴンは朝夕のラッシュアワーにはバイクの洪水となる。
信号も余り無い,バイクの川を地元の人達は 苦もなく平然と渡り切る。
夕方町を散策しているとアオザイを着た若い女性2人が、
アオザイの裾を優雅になびかせてその川を渡っていた。
フランスの香りとアジアの喧噪が溶け込む
まさにサイゴンは『カオスの町』だった。
【写真をクリックすると拡大します】
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サイゴンから車で約2時間。地元サイゴンの人々の
気楽な避暑地『ブンタオ』に行った。
平日のためか観光客は無く閑散としていた。
海岸でパラソルやチェアーを貸している,
おじさんやおばさん達も手持ち無沙汰の様だった。
けだるい白日夢の様な時間だけが流れていた。
ポートレイトを撮るコツ。
カタコトでも構わないその国の言葉で『こんにちは!』。
ニコッと笑って,ググッーと近づきシャッターを押す。
撮り終わったら『ありがとう!』。
ベトナムの人々は笑顔がとても素敵だ。
『チャオ!』
アジア人独特のちょっとはにかんだ
素晴らしい笑顔が返って来る。
シャッターを押して、
『カーム,オン!』
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旅の間中,毎日案内をしてくれたガイドの『バン君』。
今日は「観光客の行かない,素顔のサイゴンが見たい。』
と彼にリクエストした。
最初はちょっと戸惑っていたが,快く引き受けてくれた。
サイゴン川をフェリーで渡り対岸の町へ。
そこはちょうど日本の昭和30年代に戻った様な風景だった。
人々は町に溢れ,活気があり明日は少しでも豊かになりたいと思う
バイタリティーに満ちていた。
喧噪に包まれた市場。道端のテーブルで食事する家族。
廃品を修理するおじさん。客の耳掃除に余念のないトコヤさん。
バイクの汚れを水洗いするお兄さん。
皆目に力があり,屈託がない。
ベトナムには『ニート』などと言う言葉は存在しない。
日本人が忘れ去ってしまった世界がここにはあった。
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旅の案内をしてくれたバン君へ。 短い時間だったけれどありがとう。 『ベトナムはこれからの国。 まだ貧しい。 でも昔,中国の元を追い払い, フランスやアメリカを追い出した国。 竹の様にしなやかで強靱な精神を持ち, そして働き者のベトナムの人々。 きっと豊かな国になると思うよ。』 と言うと,バン君はちょっと照れながら 『ありがとう!僕も頑張る!』 |
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